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〜 ゲンザイチョウセイチュウ。〜
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<フタリ 1>

私は 彼の笑顔が忘れられない。

私は あんなに全身いっぱいをキラキラさせて
嬉しそうにしている人を見たことがない。
もしかすると もう死ぬまで見ないかもしれない。

あの二人には偶然 別々の仕事先で二度出会った。
ただの友達二人のようで でも二度とも ペアルックで歩いていたから驚いた。
よく見ると 違う服を同じ色でそろえていた彼らは
こんな田舎の街の休日に 人混みの中寄りそって楽しそうに歩いてた。

二度目に出会った日、
彼は世界一の幸福者は自分なのだと言わんばかりに それはもう輝いていた。
二つの目には かたわらの恋人─としか思えない─ 以外は映っていないようだった。
いつも微笑み返してくれるその人の背に手を回して。

それから何年たったか あの二人はずっとしあわせだろうか。
私はあの笑顔を 忘れることが出来ない。


─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ 

<フタリ 2>

人から見れば それは羨ましくさえ見えたのか。
私にとっては普通だった。クラスメイトから夫婦のようだと言われて
なんで自分がそっちなんだよ!って夫婦役の割り当てに突っ込んで苦笑いしてた。

住む地がはなれても 共通の道で何度もとなりにいた。
私が原因、結果が自分。
この道に二人でいる理由をよくそう人に言っているのを見ていて

私と対等でいるべきなんだと そういう思いを、
原因&結果から「そろそろ卒業しろ」という言葉にして渡した瞬間
笑顔が口元だけ凍った。
それを見た自分の中で 何か小さいものが壊れて 砕け落ちた。

互いに素足で 道の先の何も分からず走っていた
光が溢れる時代は遠ざかった。


私は、好きな人と一緒になる人生を当たり前だと考えていた。
模索して 結果として 今はひとりでいる。
でもそうあるべきではなかったかもしれないと ずいぶん後になって考えた。
でももう すでに互いは遠い道の先にいる。
私の手は 届くには短すぎる。

自分勝手な推測も もう解放してあげていいだろう。間違っていても何の害もない。
あの夜が最後の二人になったのかも知れなかった。
でも その時の私には見えなかった。
見てあげることができなかった。

本当は、自分は気付いていたのかも知れない。
でも自分には不可能だった。
もう一度あの夜が訪れても それを受け入れることは出来るだろうか。

正直 否だ。
でも その否を 自分の本当さえねじ曲げて
どんな形をつくればそばに居ることができるのだろうかと
考えることは できなかっただろうか。

もしかしたらもう 私の祈っていたかたち通り
結婚して 大好きな子供も授かって しあわせでいるかも知れない。
それならもちろん 私もそれでしあわせだ。

もし今でも心が あの夜からずっとひとりでいるなら
あたためてあげたい
病んだ冷たい手を伸ばして つつんであげたい。
たとえ自分の真実を 裏切ってでも。

笑え 悪魔よ
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